レースについて

レースとは、糸を透かし模様にしたり撚り合わせて布状にしたものの総称です。その歴史は古く、古代ローマではレース1mが金貨10枚と取り引きされるほどでした。

昔は機械がなく全て手作業で作られていたため、レースは富と権力の象徴として王侯や貴族に愛されてきました。

産業革命期にレース機が発明されると、それまでは王族や貴族のみが身に着けてられていたレースが、一般市民にも流通し始めました。大正末期に日本にレース機が導入されると、その繊細で美しい刺繍から、日本は世界有数のレース産業国として生産を拡大してきました。

しかし、オイルショックや海外の安価なレースの大量生産の影響により、現在の国内のレース生産は減少傾向にあります。

エンブロイダリーレースとは?

エンブロイダリーレースとは、生地にエンブロイダリー機で刺繍を施したレース(刺繍レース)のことです。

一針一針ゆっくりと縫うため時間がかかり、工程が多く手間のかかるレースですが、希少な機械と長年の経験を持つ数少ない技術者だからこそ表現できる立体的で繊細な美しさがecaLの刺繍レースの特徴です。

製造工程

1.デザイン

様々なコンセプトを元に図案を起こします。エンブロイダリーレースのデザイン作成には専門的な知識が必要で、各工程に問題がないよう綿密に作図をします。

2.データ作成

図案を元に、レース機を動かすためのデータを作成します。ステッチの方向・密度を決めて一針一針動きを作るため、正確なデータを作成するには豊富な経験値が必要となります。

3.製造

サンプルを作成し、糸や生地・データに問題がないことを確認したら、いよいよ本番生産に移ります。生地や針、表糸・裏糸のセットなどは基本的に全て手作業で行います。

4.シャーリング・検査・補修

不要な渡り糸を切り(シャーリング加工)、柄に問題があれば一つ一つ手作業で補修します。

5.精錬加工

染色のほか、水溶性の生地を溶かしたり、繊維の熱可塑性を生かした加工など、刺繍の素材や性質によって様々な加工を施します。

6.カット・最終検査

製品・柄に合わせて生地をカットしします。刺繍や生地に製品としての不良がないか一つ一つ丁寧に検査し、検針機を通して問題がなければ完成となります。

刺繍レースの新しい未来へ

私たちは約80年間、エンブロイダリーレースの製造に真摯に取り組んできました。

時代と共に世の中の流れが大きく変わっても、「豊かで美しい暮らしを送りたい」という思いは、昔から変わることなく人々の心の中にあるはずです。

様々なモノが溢れる世の中で、この度はecaLの製品に興味を持っていただけたことを嬉しく思います。

皆様の思い描く「豊かで美しい暮らし」の風景の一コマに、ecaLの刺繍レースをそっと添えていただけることを願っています。